紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
……そして濡れた服を脱ぎ、疲労の限界だった二人は、同じベッドですぐに眠ってしまった。
(丸一日、寝てたってことか……?)
寝たのも朝で、目が覚めた今も、完全に朝。
(どんだけ安らいどんねん)
疲労の限界だったとはいえ、敵に追われる身でぐっすり眠ってしまった自分たちに苦笑する。
敵だらけのあの場から、よく逃げ切ったと思う。
コートニーを起こして、ほめてキスをしてやりたいような。
けれど、すやすやと眠るビスクドールのような寝顔を、ずっと見ていたいような。
微妙な心境のオーランドは、そっと指先で白い頬をなでた。
「ん……」
起こしてしまったのか、コートニーのまつげが揺れる。
開かれた瞳は、数回瞬きをした。
「ごめん。眠かったら寝ててええで」
小さい子供にするように髪をなでると、コートニーは犬が「くうん」と鼻を鳴らすような声を出し、オーランドにぴったりと寄り添う。
……何も着ていないけれど、いいのかな。
普段通りに戻った右手は、どこをさわればいいのか。
少し考えていると、胸の中のコートニーが突然、びくりと震えた。
「……っ、きゃあっ!」
短い悲鳴を上げると、彼女はくるりとオーランドに背を向けてしまった。
「……コートニーさん、もしかして今まで寝ぼけてましたか?」
「ご、ごめんなさい」
「いや、僕は全然かまわんけど。
むしろカモーンやけど」
背中まで桃色に染まっているのがおかしくて、指をはわせる。
すると過剰にびくりと震えるコートニー。
そんな彼女が、無性に愛しかった。