紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「お嬢様、起床のお時間ですよ」
「……ぐぅ……」
「おーい、起きてやー。
僕も暇じゃないんやから……」
「……すぴぴ~……」
全く無反応なコートニーの様子に、オーランドは珍しくイラッとする。
いつもは温厚で、怒るとかキレるという言葉とは縁遠い男だったが、今朝は疲れきっていた。
オーランドはベッドに手をつき、コートニーの耳に唇を寄せる。
「お嬢ちゃんや、いい加減にせんと襲ってまうで?」
息がかかってくすぐったかったのか、コートニーは「ふにゃ」と片手で目をこすった。
(おいおい、なんやその寝起き独特のかわいらしい仕草は)
少しセクシーないたずらをしてやりたい気もするけど、あまりに無邪気な寝顔に、そんな気は抑え込まれてしまった。
「……そんなお寝坊さんには、おしおきや!」
気を取り直し、オーランドはコートニーの足を捕らえ、足の裏をこちょこちょとくすぐった。
「うっひゃ……!もう、なによぅ、うひゃ、ひゃひゃひゃ」
さすがのコートニーも完全に目覚め、拘束からのがれようと足をばたつかせた。