紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「コートニー、どないする?」
「どうするって?」
「……僕、正直気分よくないねん」
オーランドは落ち着いた声音でコートニーに話す。
「目の前にしてまうと、やっぱり放っておかれへん」
「……行くってこと?」
あの雷鳴の中へ?カートの、復讐の渦中へ行こうと言うの?
「どうしよっかな」
オーランドは困ったように、眉を下げた。
「この世界は、何度終わりそうになるんやろう。
日本でも同じようなことがあったわ」
「聞いたわ」
「うん……そうなんよ。
この世界を守ったんは、僕の友達なんよ」
ふう、とため息をつくオーランド。
「あいつらが、せっかく命をかけて守ったんに……。
僕は、どうしようかめっちゃ迷っとる。
カートを止めたいけど、コートニーを危険にさらしたくない。
でもキミをひとりで置いていくって言うのは、約束違反やろ?」
ううむ、とオーランドはうなった。
その額には珍しく、シワが刻まれていた。
「似合わないわ」
コートニーは指で、その額に触れる。
「行ってもいいって、言ってほしいんでしょう?」
「…………」
「行けば。もちろん私もついていくけど」
迷いはなかった。
オーランドが行くと言うなら、行くまで。
たとえ彼が嫌がっても、一人で行かせられるわけがない。