紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「……そやな!」
オーランドは苦笑して、コートニーの頭をなでる。
ああ、なんて可愛くないんだろう。自分でも嫌になる。
「お願い、私も連れていって」って言えば、少しは可愛いのにね。
どうでもいいことで少し落ち込むと、オーランドはすくいあげるように、コートニーにキスをする。
「ごめんな、つきあわせて」
「……別に……」
「僕が守るから、信じてついてきてな」
どくどくと脈打つ鼓動。
ええ、どこまでもついていくわよ。地獄の果てだって。
そうは言えないけど、代わりに黙ってうなずいた。
そんな自分の手をとり、今度は甲にキスをする。
まばゆい金髪がさらりと揺れ、間からスカイブルーの瞳がのぞく。
ああ、なんてきれい。
見とれていると、オーランドは顔を上げて微笑む。
「……一個くらい、指輪を売らんと残しといたらよかったな。
どのみち、このほそっこい指じゃ、スカスカやったろうけど」
「え?」
「エンゲージリングすら持ってない、さえない男でごめんな」
オーランドの大きな手が、黒い巻き毛をすくう。
いつくしむように、指をからませる。
いつになく真剣なまなざしに、コートニーの胸は余計に高鳴った。
エンゲージって?
「……この世に神さんがおらんのは最近わかったし。
しゃあないから、コートニーのおばあちゃんに誓おうか」