紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
おばあさまに?なにを?
ぽかんと見上げるコートニーに、オーランドは優しく囁く。
「……僕は、生涯ずっと、コートニーだけを愛し、守っていくことを誓います。
ずっと大事にします。
だから、お願いします。
僕から離れんとってください」
それは、誓いの言葉。
正式なものよりだいぶ端折ってるし、ダサイ田舎の方言丸出し。
「…………っ」
だけど。
のどの奥がつまるような感覚がしたと思ったら、すぐにぼろぼろと涙がこぼれた。
どんな流暢なキングスイングリッシュも、ダイヤの指輪も、あなたの心の暖かさにはかなわない。
思わず首に抱き着くと、オーランドはしっかりとコートニーを抱えて、笑った。
「ええんやな?」
「うん!」
「よし、じゃあ行くか!」
「ハネムーンが地獄だなんて、パンクで素敵ね」
「あっほやなあ、生き延びて幸せになるに決まってるやろ!
ハネムーンは熱海やな。日本の定番。
それに、あんなんじゃ全然足りへんし?」
な、と耳たぶをなめられて、コートニーは昨夜の「あんなん」を思い出してしまった。
一気に頬が上気する。
私はじゅうぶんよ。
そう言ってやりたかったけど、恥ずかしくて顔があげられなかった。
そんなコートニーを、オーランドは何度もからかっては笑った。