紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
◇決着
紅蓮の腕
*
騎士団長ランスロットは、この何日か大忙しだった。
オーランドは黒魔法師のプリンセスを連れて逃亡するし、捕えたと思ったらプリンスなる人物にペンタグラムを奪われた。
精霊が隠れてしまったあのとき、脅威が一気に姿を消してくれたのは、正直助かったが。
「団長……空が……」
隣にいたフェイの言う通り、空が突然真っ赤に染まりだした。
「とうとう動き出したか」
あのペンタグラムが、黒魔法師たちにとってどんな存在かは知っていた。
王族に代々伝わる力が、動き出した……。
「皆の精霊は、戻ってきたか」
「大部分は……。しかし、今回も敵と対峙したらどうなるか……」
「ランスロット様、私たちは勝てるのでしょうか」
不安げなフェイとアリスが、ランスロットを見上げる。
クライドは一命をとりとめたが、とても戦える状態ではない。
他の白魔法師たちのダメージも意外に少なかったが、使役していた精霊たちが一度姿を隠してしまったことは、全員にショックを与えた。
そしてUnkownと呼ばれていた、騎士団と組織の味方だったはずのオーランド。
彼がいつもの穏やかな自分を失い、悪魔に乗っ取られた姿も同様。
しかも彼は今行方不明で、プリンセスと一緒にいると思われる。
彼は、どっちにつくのか?