紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「あんなあ……」
オーランドはため息をつき、コーヒーだけをすすりながら、コートニーを説得しにかかった。
「シャワーも部屋着もベッドも借りて、飯まで食っといて、それはないんちゃうか?
キミな、ちょっと非常識やで」
「ステンドグラス割った人に言われたくなーい」
「揚げ足を取るんやない。
ちょっとでも僕に感謝の気持ちがあるんやったら、昨夜以前のことを説明するんが筋ってもんやろ」
「感謝?たったこれだけのことで感謝しろって?
こんなちいさな部屋に一晩泊めてやっただけで、自分の身の上を洗いざらいしゃべれって?
なんて小さな男なのかしら」
「ち……っ!?」
オーランドは言葉を失った。
美しきジャパニーズ忍・岡崎瑛と初めて言葉を交わした時のことを思い出す。
顔が浮世離れしてキレイなやつは、みんな性格が悪いのだろうか。
(普通の可愛い顔のまりあの方が、よっぽどええ子やった!!)
それに、男にとって「小さい」は禁句である。いろんな意味で。
「……そうか、わかった。
もうなんも話さんでええから、はよ着替え。
警察に連れてってやるから」
「うっ」
突き放すように言うと、コートニーは途端に「しまった」という顔をした。