紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
どうやら、警察に連れて行かれると困る身分らしい。
「……すみませんでしたー」
コートニーはむっつりとした顔で、一応オーランドに謝る。
「ほな、説明してもらおか。
昨夜言ってた『連れて逃げろ』とはどういうことやねん」
「……そのままの意味なんだけど。
私は死者たちに追われてる。
だから、あなたみたいな強いイケメンに助けてほしい」
イケメンと言われれば他の男は喜ぶかもしれないが、あいにくオーランドは自分の容姿が優れていることは自覚している。効果はない。
「今更お世辞はいらんて。
なんで追われてるんや?
警察に行けんっちゅうことは、それなりの事情があるんやろ?」
オーランドの機嫌を取り損ねたコートニーは、ちっと舌打ちした。
「……それは言えない」
「なんでやねん」
「なんでも」
オーランドは大きくため息をついた。
全く話にならない。
(もしかして、単に頭の痛い子なんか?)
一旦そう思うが、彼女が死者に襲われたのは事実だ。
(やっぱり、騎士団に渡そ。僕の手には負えんわ)
この顔でもっと性格の可愛い子なら、一日デートして、夜はもっといいこともするんだけど。
でも彼女はちょっと遊ぶには、敷居が高すぎる。
というか、めんどうくさい。
オーランドは、コートニーに提案する。
「ほんなら、僕より強くてイケメンの能力者を紹介してやるから、一緒に行こか」