紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「ううん……これは私が代償をはらわなきゃ」
コートニーは首を横にふる。
「あかん……」
「……あかんのは、あんたや。
魔術の常識、知らんのかい」
同じ方言で話すと、オーランドは一瞬黙った。
その瞬間を狙って、コートニーは彼に抱きつき、キスをした。
唇を押し付けるだけの、幼いキス。
「……ありがとう。
どうか、しあわせにね……」
ふわりと微笑んだ彼女は、次の瞬間、背中から地面に倒れこんだ。
オーランドが見上げたとき、すでにドラゴンの姿は、なかった。
ただ、黒い雲の隙間から、黄金の太陽がのぞいていた。