紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
いやや。最後なんて、嘘や。
『……「しあわせに」と、言っていた……』
『………!』
そうだっけ。ああ、そうだ。
なんて無責任なんだ。
言うだけ言って、眠りこんでしまうなんて。
『とにかく、体を治せ。治ったら……』
黙って聞いていたオーランドは、信じられない言葉を聞いた。
『ほとぼりが冷めるまで、イギリスから出て行ってもらう』
悪魔の力を使い、白魔法師を攻撃したことで、オーランドは騎士団や組織にいられなくなった。
ただランスロット他、彼の最後の戦いでの功績を主張する者たちが妥協案として、国外退去を提案した。
そんな説明を、オーランドはただ雲がかかったような頭でぼんやりと聞いていた。
『火あぶりにされずにすんだ……それだけでも感謝せいってことか……』
『まあ、そういうことだ』
ランスロットはため息をついた。
騎士団長として、彼ができる精一杯のことをやってくれたのだと、オーランドは感じた。
『すまんな……彼女のことは、私が責任をもって監視しておくから』
監視て。
ランスロットらしいものの言い方に、ふっと息がこぼれる。
『……変なことせんといてくださいよ』
『心配するな。私は子供に興味はない』
『子供やて。本人に聞こえてたら、怒るやろうな』