紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「本当に、彼女を目覚めさせる方法はないのかな?
ううう、私の力が残っていれば、一緒に行って祈ってあげるのに……」
「まりあは優しいなあ……」
「おい、くっつくな」
瑛がオーランドの首根をつかまえる。
「お前らしくない。結局悪魔の力は残ってるんだろう?」
瑛はオーランドの上腕を叩く。
そう、彼の契約呪文は残ったまま。
悪魔は今もひっそりと、その体に息づいている。
「その力を使って、どうにかして行けばいいだろう」
「……そんなことしたら、また親やおっさんに迷惑がかかるし」
だから、こんなふうに無様に爆発するまで、ずっとストレスを抱え続けてきたんじゃないか。
そんなこと知るかというように、瑛は腕を組んでオーランドを見下ろす。
「うるさい。さっさと行ってしまえ」
「ひど……まりあぁ、この元忍者、ひどいこと言うよぅ」
まりあに訴えると、彼女は真剣な顔でオーランドに向き合った。
「うん、言い方ってものがあるよね。
でも、間違ったことは言ってないと思うの。
彼女の元へ、すぐにでも行った方がいいんじゃない?」
「まりあ……」
「きっと彼女、待ってるんじゃないかな。
今でも、オーリィを……
私もね、あきらめつつ、どこかでずっと、待ってたもの」
彼女が瑛を見ると、彼は咳払いをしてごまかした。