紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「なあ、怒ってるか?
心配せんでも、他の女の子は本気で口説いてないで?」
だって、あの時誓ったじゃないか。
僕は、ずっとキミだけを愛していくと。
あの頃僕は、呆れるほど子供だったかもしれない。
だけど、思い出しただけで涙が出るくらい、本気だった。
ねえ、キミも笑って。
覚えている?
このベッドで、初めてお互いのすべてを感じたんだ。
あのとき初めて、僕はこの世でひとりぼっちじゃないんだって思えた。
初めて会ったときから、可愛いと思っていたよ。
本当に。
でも、好きになってはいけないと思っていたんだ。
僕は、誰も、本気で好きになってはいけないと……そう、思ってた。
そんなものを全部飛び越えて、キミにキスをした夜。
駆け落ちなんて、子供じみた抵抗をした日。
プロポーズをした日は、あいにく僕たちの別れの日になってしまった。
あの数日間だけが、僕のすべてだった気がする。
ねえ、ここで笑ったことを覚えている?
『7人のドワーフが来て、見つかるかも』
『私が白雪姫ってこと?
そうしたら、あなたがキスをして起こしてね』
あの時の僕たちの声が、今でも耳に響いているよ。