紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


「ドラゴンは、あなたが私にキスをしたら起きるように、しゃれた魔法をかけてくれたのに!

ずっとそばにいてくれるって、約束したのに。

毎日キスしてくれてたら、あと3年早く目覚められたのよ。

ひどいわ!誓いを破るなんて。最低よ。もう、信用できない」


コートニーはぷいと、横を向いて膨れてしまった。


そんなこと言われても……僕はそんな事情、まったく知らなかったのだし。


夢枕にでも立てば良かったじゃないか、と思う。


「……もう私のことなんか忘れちゃって、他の女の人を口説いていたんでしょ」


涙声のコートニーに、はっとする。


コートニーは、女たらしな自分がひとりでいられるわけないと思って、夢に立つなんてできなかったんだ。


僕に違う相手がいたら、悲しいから。


「そんなことない」


「うそよ」


「ホンマやって!」


オーランドは無理やりコートニーを振り向かせ、抱きしめて唇を押し付ける。


すると途端に、コートニーは静かになった。


閉じたまぶたから涙がこぼれ、細い腕が、背中を抱きしめかえす。


「ごめんな、お待たせ。

もう、離さへんで」


ぎゅうと抱きしめた彼女は、小さくうなずく。


「欲しいのは、本当にキミだけ」


囁くと、コートニーはふっと小さく笑った。


「お帰りなさい。私の王子様」




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