紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
その途端、暴風に巻き込まれたように、視界と呼吸が奪われる。
コートニーは息を止めながら、オーランドの手をしっかり握って耐えた。
そうすること、数秒間──数秒間といえども、コートニーにとっては、すごく長い時間のように感じられた──後、
ずぼ、という音が聞こえた気がして目を開けると、なぜかそこには……。
「……どこここ?」
黄色や赤、色とりどりの花に囲まれた、典型的なイングリッシュ・ガーデンが広がっていた。
秋だというのに、春や夏にしか咲かない花が、無秩序に、しかしどこか統率が取れているように、完璧な美しさで咲き乱れている。
「散策しとる暇はないで」
オーランドののんびりした声がかけられ、我に返る。
「うーん、惚れられてしもうたか。モテる男はつらいわ」
「……!」
気づけば、コートニーはまだしっかりと、オーランドの手を握っていた。
それどころか、無意識のうちに腕に巻きついていた。
体温が上昇し、頬が熱くなるのを感じ、コートニーは慌ててオーランドから離れる。
昨夜の行為は、オーランドに泊めてもらうため、すごくがんばって演技をした結果だった。
夜だったせいか、うまくいったけど、本当は男の子にベタベタすることに慣れていないコートニーは慌てる。
「だっ、だっ、誰があんたみたいな時代遅れのパンク野郎に……」
「しっ」