紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
(わかってるわよ……)
精霊を使役できるのは、白魔法師のみ。
(白魔法師も、私の敵だわ)
オーランドは、その白魔法師と友達であると言った。
じゃあ、敵?
しかし、彼自身は精霊も魔法も使役できないようだ。
そのどちらのニオイも、彼からはしない。
ここまで来るのに、それはよくわかった。
じゃあ……。
「ねえシド、私はあの人……オーランドは、敵じゃない気がするの」
シドと呼ばれたテディベアは、「はあ?」と首をかしげる。
「白魔法師より、死者より、あいつらより、もっと私たちに近いものである気がするのよ」
「悪魔っぽいってこと?
たしかにあの力はすごいけど、彼からは邪悪なものは感じないよ」
「……表面上はね」
だけど、コートニーは見た。
悪魔と呼ばれたオーランドが、一瞬、周囲のものを全て凍らせるほど、冷たい目をしたのを……。
思い出すと、ぞくりと背中が震えた。
それは、歓喜の震えでもあった。
「私たち、強力な味方を手に入れられるかもしれないわ。
ねえシド、オーランドを私のものにする作戦を考えてよ。
やっぱりキュートでスイートな私の色仕掛けしかないかしら?」
「……まず、その趣味の悪い服を脱いだ方がいいと思う」
呆れたように言ったシドを、コートニーは思いっきりぶったたいた。