紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


(わかってるわよ……)


精霊を使役できるのは、白魔法師のみ。


(白魔法師も、私の敵だわ)


オーランドは、その白魔法師と友達であると言った。


じゃあ、敵?


しかし、彼自身は精霊も魔法も使役できないようだ。

そのどちらのニオイも、彼からはしない。

ここまで来るのに、それはよくわかった。


じゃあ……。


「ねえシド、私はあの人……オーランドは、敵じゃない気がするの」


シドと呼ばれたテディベアは、「はあ?」と首をかしげる。


「白魔法師より、死者より、あいつらより、もっと私たちに近いものである気がするのよ」


「悪魔っぽいってこと?

たしかにあの力はすごいけど、彼からは邪悪なものは感じないよ」


「……表面上はね」


だけど、コートニーは見た。


悪魔と呼ばれたオーランドが、一瞬、周囲のものを全て凍らせるほど、冷たい目をしたのを……。


思い出すと、ぞくりと背中が震えた。


それは、歓喜の震えでもあった。


「私たち、強力な味方を手に入れられるかもしれないわ。

ねえシド、オーランドを私のものにする作戦を考えてよ。

やっぱりキュートでスイートな私の色仕掛けしかないかしら?」


「……まず、その趣味の悪い服を脱いだ方がいいと思う」


呆れたように言ったシドを、コートニーは思いっきりぶったたいた。


< 33 / 276 >

この作品をシェア

pagetop