紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「父上がああ言うならしょうがない。
何かあったら、すぐ報告しろ」
「へいへい。行くで、コートニー」
オーランドはコートニーの手をひき、さっさと帰って行こうとする。
早くこの場から立ち去りたい。
みんなの視線が、イタイ。
「ちょっと、オーランド……!」
アリスが何か言いかけたのが聞こえたような気がしたが、オーランドは止まらなかった。
庭を突きぬけ、さっき使った移動魔方陣を使い、地下鉄の駅まで移動する。
そこで初めて、コートニーに声をかけた。
「アホやなあ、キミ。
あそこは部外者が見たらあかんとこやったんや。
騎士団が帰ってきたら、即刻記憶削除されるからな。
覚悟しとき」
「騎士団……」
「……こうなってしまったからには、少し話さんとあかんな。
そして、キミのことも聞かなあかん」
とりあえず、カフェにでもいこか。
オーランドの提案に、コートニーはうなずいた。
その手はいつまでも、オーランドの手をにぎったままだった。
その小さな手に頼られるのは、どうしてか嫌じゃない。
オーランドもまた、彼女の手を離さずにいた。
「ねえ、オーランド」
「なんや」
「どうして私を庇ってくれたの?」