紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


「父上がああ言うならしょうがない。

何かあったら、すぐ報告しろ」


「へいへい。行くで、コートニー」


オーランドはコートニーの手をひき、さっさと帰って行こうとする。


早くこの場から立ち去りたい。


みんなの視線が、イタイ。


「ちょっと、オーランド……!」


アリスが何か言いかけたのが聞こえたような気がしたが、オーランドは止まらなかった。


庭を突きぬけ、さっき使った移動魔方陣を使い、地下鉄の駅まで移動する。


そこで初めて、コートニーに声をかけた。


「アホやなあ、キミ。

あそこは部外者が見たらあかんとこやったんや。

騎士団が帰ってきたら、即刻記憶削除されるからな。

覚悟しとき」


「騎士団……」


「……こうなってしまったからには、少し話さんとあかんな。

そして、キミのことも聞かなあかん」


とりあえず、カフェにでもいこか。


オーランドの提案に、コートニーはうなずいた。


その手はいつまでも、オーランドの手をにぎったままだった。


その小さな手に頼られるのは、どうしてか嫌じゃない。


オーランドもまた、彼女の手を離さずにいた。


「ねえ、オーランド」


「なんや」


「どうして私を庇ってくれたの?」


< 46 / 276 >

この作品をシェア

pagetop