紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「まず、キミが今日見たあの団体。
あれは、僕が所属する『組織』や。
名前はない」
日本に行ったときは、とっさに『SEX CANNONS』などと名乗ったが、あれは完全にオーランドの創作だった。
「『組織』の上にあるのが、『騎士団』。
組織は騎士団の……下請け会社みたいなもんやな。
騎士団は、高位の白魔法師の集まりや。
黒魔法師が悪させんように、世界中を見張ってる。
で、騎士団では手が回りきらないところの処理をするんが、組織の仕事や」
コートニーはサンドイッチを咀嚼しながら、ふんふんと相槌をうった。
「白魔法師ってのは、精霊を召還して、白魔法を行う者たちのことやな。
黒魔法師ってのはその逆で、悪魔を召還する」
「…………」
「今の組織の主な仕事は、イギリスじゅうに現れている『死者(リビングデッド)』……
これはキミも知っていると思うけど、お墓から掘り出された死体を、何者かが魔法で動かしているわけやな。
本当に掘り出したのか、そのへんで調達したのか、それは不明やけども」
そんな話をしながらも、平気な顔でオーランドとコートニーは昼食を胃に納めつつ、話を続ける。
「とにかく、最近その『死者』の動きが、えらい活発なわけや。
もちろん夜限定……死者は日光に当たると灰になってしまうからな。
夜限定で、人攫いをしてるんや」
「人攫い……」
「誘拐、やな」