紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
夢見姫とは、最近まで日本にいた占い姫の名だ。
夢で未来を見通し、その念力で物事を動かせる。
その夢見姫を、イギリスの騎士団の元へ連れてくるのが、オーランドの任務だった。
騎士団はその力を、マジメに世界平和に役立てようとしていたらしい。
しかしせっかく近づいた彼女は、すでに日本の能力者に目を付けられていた。
彼女を狙う者たちとの戦いに手を貸し、うまく近づいたのはいいが……
彼女はすでに、護衛として雇われていたジャパニーズ忍者に心の底から惚れていた。
誰が見ても「そいつはやめとけ」ってやつだったのに、彼女は突き進んだ。
そして、その美しき忍を守るため、彼女は力を使い切ってしまったのだ。
そんな夢見姫を、誰が責められよう。
「あーあ、可愛かったなあ、まりあ。
元気にしとるんかなー」
帰国して、それほど時間は経っていない。
けれどオーランドは、日本が恋しくてたまらなかった。
この国は、母国だけれど、しがらみや敵も多い。
いや、何が味方で何が敵か、それすらはっきりしない。
「……あかん、暗くなってる場合ちゃうわ!」