紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
精霊があれだけ騒いだということは、コートニーに何か邪悪なものを感じたからに他ならない。
そう、コートニーが黒魔法師ならば、あの混乱は納得できる。
しかし彼女自身は……黒魔法師に、嫌悪感を抱いているみたいだ。
それに、こうして対面しているコートニーは本当にただの少女で、なんの力も感じない。
うまく隠しているのか?
彼女は、黒か白か。
今の段階では、限りなく、グレー。
「……で、あなたは何者なの?」
コートニーのバラ色の唇からこぼれたのは、オーランドの疑問そのもの。
意外に気があうかもしれないなと思い、オーランドは苦笑した。
「だから、あの組織の一員やって」
「それだけじゃないでしょう。
あなた、あの場を仕切っていた変態の弟なのよね?」
「変態って!」
ぷはは、とオーランドの笑いが破裂。
あのいけ好かない兄をそう言ってもらえると、ざまあみろと言いたくなる。
やっぱり、気があいそうだ。
「そーそー、あの変態兄な、組織の次期リーダーやねん。
元はうちの父ちゃんがやっててんけどな、最近はあの通り。
いつくたばるんか、わからん」
「病気なの?」
「……まあ、色々あってな」