紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
今朝までは忌々しいだけだったのに、いっそこれだけ自己中というか、『普通』から外れていると面白くなってくる。
他にはどんな顔を隠しているんだろう?
オーランドは目の前の美少女を、興味深く見つめた。
「そんで、キミは?」
「あたしは……」
たずねると、コートニーはうつむく。
そして、何度かまばたきをすると、オーランドに向き直り、口を開いた。
「死者に追われているの。
死者を作っている錬金術師に捕らえられていたところから、脱出してきたから」
「……え……はあ!?」
とんでもないことを口走るコートニーに、信じられないオーランド。
しかしここは、慎重に話を聞かねばなるまい。
「錬金術師って……」
「あなたの言ったとおり、死者を作るのは黒魔術よ。
その錬金術師は、黒魔術を使って、使者を量産してるの。
名前は、ナンシー」
「ナンシー……。女の人かいな」
「そうよ」
こくりとうなずくコートニー。
オーランドの目からは、ウソをついているようには見えない。