紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
オーランドが先に席を立つと、コートニーもそのあとに続いた。
「あなたの部屋に泊めてくれるのね?」
コートニーは嬉しそうに頬を染めた直後、眉をひそめた。
今度はなんだ?
「もしかして、私の体が目当て……!?」
バッと両手で自分自身を抱きしめるコートニー。
アホか。オーランドは呆れた。
彼女は自分の外見がキレイなことを自覚しているらしい。
思考が自分と似すぎていて、逆に萎える。
「……アホか。僕の好みは、キミとは正反対の大和撫子や。
そんなに不自由しとらんし、いらん心配すんな」
「…………あ、そ。
それならいいんだけどー」
いいんかい。
初心なのか自信家なのか、よくわからんやっちゃ。
まあいいかと、カフェを出た二人は、並んで歩き出す。
その耳に、突然……
「きゃああああああああっ!!!!」
布を裂くような悲鳴が聞こえた。
入り組んだ裏の路地かららしい。
そこにはアパートやマンションが立ち並んでいる。
(なんや?)
オーランドは声のした方へ走り、コートニーは風のように速い彼に、必死でついていく。
やがて2人が見たのは……
真っ青な顔をした小さな女の子を抱えて泣いている、女性の姿だった。
女児の体のいたるところに、無残な傷跡が。
コートニーは思わず目をそらす。