紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「あ、クライド?実はかくかくしかじか、金を貸して……」
話はじめた途端、オーランドの顔が固まった。
「……話の途中で切りよった……人間か、あいつ」
ぷるぷると震える手で、オーランドはスマホを操作する。
コートニーはそれを、哀れみのまなざしで見ていた。
(正義の味方も給料制なんて、夢がないわね……)
そんなことを考えている間にも、オーランドは次の電話の相手にも、あっさり借り入れを断られたらしい。
泣きそうな顔で、いや、すでにしくしく泣きながら、オーランドはまた別のところに電話をかけた。
「フェイまで断りよった……」
「あなたが浪費家で信用できないって、みんなに知れ渡ってるのね」
「しっ」
オーランドは人差し指を唇に当てる。
コートニーには、そんな彼の仕草はとても可愛く思えた。
実際彼は女の子に人気があり、中等学校時代のガールフレンドがたくさんいると自分でも自慢していた。
電話口で話し始めた彼の口調が、いままでより優しいものに変わる。
(もしかして、ガールフレンドなのかな?)
コートニーが電話に顔を寄せようとすると、オーランドに邪魔するな、と額を叩かれた。