紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
(めんどくさ……)
女の子は、可愛い。
抱きしめればやわらかいし、いいにおいがする。
それはオーランドを癒してくれるものでもあったが、同時に一番苦手なものでもあった。
たまに後腐れなく遊ぶのはいいが、それ以上を求められると、ささっと身をひいてしまう。
自分でも最低だなとは思うが、仕方がない。
どうして、彼女たちは自分を所有物にしたいんだろう。
見た目がいいから?それだけでいいなら、わざわざ『恋人』にならなくてもいいのでは?
本当の自分のことなんか、何も知らないくせに。
知ったら、恐れをなして逃げていくくせに……。
「できたわよー」
バスルームから出てきたコートニーは今日も、完全なゴスロリ。
その服を日本からネットで取り寄せたから、金がなくなった。
だけど彼女のこだわりは半端なく、ゴスロリ意外は着ないと言うのでしょうがない。
まあ、たしかに似合っているけど。
顔が整いすぎているせいか、本物の人形みたいだ。黙っていれば。
「……大事に着てな」
「はーい」
「行くで」
オーランドはドアを開けた。
ロンドンの空は、どんより曇っていた。