紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「おっさ……ん、じゃなくて、ランスロットの親分」
「誰が親分だ。お前たちは、死者を倒すこともできんのか!」
大きなリボルバー式の銃を持ったその人物は、騎士団長、ランスロットだった。
白い翼に見えたのは、彼のマントだったのだ。
ランスロットは銃を構え、死者の頭部を狙って次々に彼らを打ち抜いていく。
倒れた彼らに、クライドはすかさず火をつけた。
「オーランド、クライド、大丈夫!?」
アリスが塔を駆け上がってきた。
その後ろには、フェイもいる。
遅い応援の手を借りることなく、ランスロットは全ての死者を倒してしまった。
「……オーランド……」
仕事を終えたランスロットはマントを翻し、地べたに座り込んだままのオーランドを険しい顔で見下ろす。
完全に怒られると思ったオーランドはうつむくが、かけられたのは意外な言葉だった。
「右手は、どうだ」
「え、あ、はあ……」
そう言われれば、あれだけ暴れていた右腕が、ウソのように静かになっている。
すっかり元に戻ったようだ。
「大丈夫、です」
「……そうか」
ふう、とため息をつくと、ランスロットの口ひげがふわりと揺れた。
「あの……」
「エジプトから帰ってきた直後に、こんな戦闘に加担することになろうとは……アリス、お前の報告がなければこいつらの命もなかったな」
どうやらランスロットは、死者がパワーアップしたことをアリスに聞いたらしい。
それはともかくとして。