紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「オーランド……」
ふりむくと、そこには不安そうな瞳をしたコートニーが。
「すぐ、迎えにきてくれる?」
強気な彼女らしからぬ小さな声で、そう聞く。
「……それはこの人次第やけども」
オーランドはちらりとランスロットを見る。
すると、コートニーは泣き出しそうな顔になってしまった。
オーランドは慌てて言いつくろう。
「やけど、用事が済んだらすぐ迎えに行くし。
大丈夫やで、コートニー。
アリスに迷惑かけんようにな。おとなしくしてるんやで?」
子供に言い聞かせるように言うと、コートニーは頬を膨らませ、「わかってるわよう」と返事をした。
アリスは心底嫌そうな顔をしていたが、ランスロットの命令に逆らうわけにもいかず、しぶしぶコートニーに話しかける。
ランスロットに続いてその場を後にしながら、オーランドはちらちらとその様子を盗み見た。
いつも自信満々の女王様が、急に道に迷った小さな子供に見えた。
ああ、今の彼女には自分がついていてやらなければいけなかったんだ。
ごめん……。
オーランドはコートニーを放っておけないと思っている自分に気づき、ハッとする。
どうして?
あんな、敵か味方かもわからない少女を放っておけないんだろう。
「オーランド、何をしている」
ランスロットに呼ばれ、オーランドは前を向く。
背後のコートニーはどんな顔をしている?泣いていないだろうか。
こんなに気になったのは、初めてだった。