紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
とぼとぼと、コートニーはオーランドの友人たちのあとを付いて歩く。
彼らはリニューアルされた死者についての議論を交わしているけれど、自分はそこに入る資格などないのだと、彼女はわかっていた。
彼らはオーランドの友達であり、自分の友達じゃない。
……じゃあ、オーランドは?
あの黒い魔方陣は、間違いなく『あいつ』のものだった。
なんとか移動魔法を使って展望通路まで着き、見たのは、魔法陣に引きずり込まれそうなオーランド。
次の瞬間、なぜだか体が動いていた。
(魔法使おうとしたの、バレたよね。
シドがしゃべったのも、聞かれちゃったし……)
オーランドが目を丸くした瞬間を、コートニーは見逃していなかった。
(はぁ……これからどうなっちゃうんだろう)
オーランドは迎えに来てくれると言った。
でも、それがウソだったら?
(あの緑のおじさんが、私を捕らえにくるのかな?)
想像すると、身震いした。
(おじさん、目が笑ってなかった。
たぶん、私の正体に気づいてる……)
どうしよう。
どうしよう。
お願い、オーランド。
はやく迎えにきて。
私はこのロンドンで、ひとりぼっち。
ううん、この世界でひとりぼっちなの。
お願いだから、その田舎なまりの言葉で、くだらない冗談を言って。
スカイブルーの瞳で、私を見つめてよ。
「……おい!」
クライドが、後ろをふりかえる。
そこには、冷たい路上に倒れたコートニーがいた。