紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「何か異常があったら、すぐに報告するように。
その指輪も、新しく作り直した方がいいかもしれないな」
ランスロットは、オーランドのアーマーリングを見つめた。
そう、これは魔法が使えないオーランドが移動魔方陣を使ってイギリス中を行き来できるように、騎士団が与えたもの。
そして、オーランドの力を白魔法で制御する、封印の役割も果たしていた。
「新しいのですか。じゃあ今度は、ナックルリングにしてもらおかな」
「……お前のその装飾品のデザインにかける情熱は、違うところに使えないものか」
ランスロットがため息をつくたび、口ひげが揺れた。
「そう、忘れてはいけない。
あの少女のことだが……」
オーランドは背を正す。
さて、どんなことを言われるのやら……。
「黒魔法のにおいがする。お前も気づいているだろう?」
やっぱり。
オーランドは静かにうなずく。
ここでしらばっくれても無駄だ。
「正確には、さっき気づいたんですけどね。
うまーく隠してましたわ、あの子。
でもさっき僕を助けるために、魔法を使おうとしたんでしょうね。
背中のクマはたぶん、使い魔……おそらく低級の悪魔でしょう」
オーランドは率直に、思ったことを述べる。
「……そのようだな。
とすると、彼女は黒魔法使い、か……」
ランスロットはオーランドに同意らしく、考え込むように遠くを見つめる。
コートニーの処遇について、少し思うところがあるようだ。
オーランドはおとなしく、次の言葉を待つ。