紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「……敵だと思うか?」
低い声が、ぽつりと床に落ちる。
「わかりません。でも……」
オーランドはランスロットを見つめた。
「敵だったら、僕を助けたりするでしょうか?
一緒に魔方陣に引きずり込むと思うんですが」
「信用させるために、仲間のふりをすることもあるだろう」
「あーあー、おったわ、日本にもそんなやつ……」
コートニーの顔を思い浮かべていたのに、その隣に突然現れたのはジャパニーズ忍者、岡崎瑛の顔だった。
思わず苦笑するオーランド。
「でもねえ。そういうキャラって、結局は味方につくんですよ、最後はね」
「…………?」
「あの子は、違うと思います。
彼女は本当に、死者を怖がっていた。
それは間違いありません。
たぶん、話していることの6割くらいは本当だと思います」
「黒魔法師づきの錬金術師に追われる、低級の魔女ということか」
「そんなところでしょう」
「ふむ」
ランスロットは、綺麗にヒゲを処理したあごを、白い手袋をした指で触った。
「で……どうなるんでしょう?コートニーは……」
おそるおそる聞くと、ランスロットはまたため息をつく。
(まさか……死刑?)
白魔法師にとって、黒魔法師は絶対の悪だ。
コートニーも、ただでは済まないかも。
難しい顔色をうかがっていると、ランスロットは口を開いた。