紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「お前のそのなれなれしさが役に立つかも知れんな。
しばらく一緒にいて、尻尾が出ないか泳がせろ」
「は……いいんですか?」
「私は女子供に拷問を加える趣味はない」
ウソやん。
僕には拷問に等しい説教地獄を繰り広げるくせに。
そうは思ったが、黙っておくことにした。
一応自分は大人扱いされているということにしておこう。
「……それに、彼女の力はお前と相性がいいだろう。
Unknown……正体不明のお前とな」
「……たしかに、僕の力は、彼女とは最高の相性でしょうね」
コートニーが黒魔法師だとしたら。
(……やから、なんとなく気になったんやろうか)
だからなんとなく、放っておけないんだろうか。
オーランドはコートニーの顔と自分の腕に起こった過去の出来事を、交互に思い出す。
まだ幼かった自分が、今の『力』を得た日のことを。
「それと、彼女に探れたら探っておいてほしいことがある」
ランスロットの声で、思考が目の前に戻る。
「なんでしょう?」
「どうやら、黒魔法師たちが誰かを探しているらしい。
噂によると、黒魔法師たちにとっては最も高貴で、私たちにとって最も邪悪な血筋の末裔が、ロンドンにいることがわかったようだ。
黒魔法師の開祖といえる血筋のな」
「……その末裔を、敵より先に探せと」
「そういうことだ。
その末裔を王にのしあげて、黒魔法師が結束されたら大変なことになる」