紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
はあ?
オーランドの頭は爆発寸前だった。
コートニー、錬金術師、強化された死者、邪悪な血の末裔。
(考えることが多すぎるわっ!)
まあ、最後の問題は『探れたら探る』ということだから、主に騎士団の問題なんだろうけれど。
全てが絡み合って、複雑な問題になりそうな予感がしているのは自分だけだろうか?
「手がかりは?」
「末裔は、黒魔法師に代々伝わる『何か』を持っているらしい。
それが指輪なのか、宝石なのか、あるいは別の何かか……それはわかっていない」
「はあ……じゃあそのへんを、探れたら探っておきますわ」
「そうしてくれ。もう行っていい」
オーランドは去り際にランスロットを振り返る。
彼は難しい顔で、遠くを見て何かを考え込んでいた。
オーランドはそっと、その場をあとにする。
さあ、早くコートニーを迎えにいってやらなければ。
(……できることなら……)
複雑化していくこれからの戦いに、彼女を巻き込まずに済みますように。
祈りながら、オーランドは駆け出した。