紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「もう来たの!?」
「だから言ったじゃないか、すぐ見つかるって!」
「アンタがキーキーうるさいからよっ!」
多数の足音が近づいてくるのを感じ、2人は身を震わせる。
礼拝堂には、ひとつしか入り口がない。
「移動魔法だ、コートニー!」
「わかってる!」
コートニーと呼ばれた彼女は、まぶたを閉じる。
しかし額に汗が浮かぶばかりで、先ほどの魔方陣は出現しない。
「どうしたんだよ?」
「ここまで来るのに、疲れたのよ!」
移動魔法を繰り返してロンドンまでたどり着いたのはいいが、敵も同じような魔方陣を使い、いくらでも追ってくる。
疲れきり、集中力もなくしたコートニーは、なかなか魔方陣が現れないことに苛立った。
その間にも、足音は彼女たちに確実に近づいていた。