紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


(なんや……?)


コートニーはいつも、黒地に白いレースがついたチョーカーだとか、ダミーパールのネックレスだとかをつけていた。


だけど今、彼女のスクエアネックの服からのぞくのは、銀色の細いチェーン。


(こんなん、してたっけ?)


オーランドはそっと指をのばす。


(そう言えば、初めてうちに来た次の朝、見たような気もする……

けど、チェーンだけでトップは見てへんかったな)


なぜかそのチェーンが気になり、オーランドは鎖骨のあたりから、服の中へと人差し指を入れる。


チェーンだけをひっかけて、その正体を現そうとしたのだけど……。


少し緊張したせいか、指がすべって、コートニーの鎖骨に触れてしまった。


「……あ」


「え……?オーランド……?」


突然、コートニーの目が開く。


気づけば、鼻どうしがふれあうような至近距離で、オーランドは彼女と目があってしまった。


まずいと思ったのは、一瞬。


──パッチーン!!


次の瞬間には、オーランドの目の前に星が飛んだ。


コートニーの平手打ちが、見事に頬に命中したのだ。


「いって……」


「ななななな、なにしてんのよーっ!!」


コートニーの大声で、隣で寝ていたシドまで起き上がる。


「お前っ、コートニーに何をしたんだっ!?」


キイキイ言うテディベアに驚く間もなく……。


「どうしたんだ!?」


クライドにフェイ、アリスが様子を見にやってきた。


「痴漢だわっ!いいえ、変態よ!

このひと、私が寝ている間に、勝手にあちこち触ろうとしたのよっ!

ええ、服も脱がそうとしてたわっ!」





< 90 / 276 >

この作品をシェア

pagetop