紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
(なんや……?)
コートニーはいつも、黒地に白いレースがついたチョーカーだとか、ダミーパールのネックレスだとかをつけていた。
だけど今、彼女のスクエアネックの服からのぞくのは、銀色の細いチェーン。
(こんなん、してたっけ?)
オーランドはそっと指をのばす。
(そう言えば、初めてうちに来た次の朝、見たような気もする……
けど、チェーンだけでトップは見てへんかったな)
なぜかそのチェーンが気になり、オーランドは鎖骨のあたりから、服の中へと人差し指を入れる。
チェーンだけをひっかけて、その正体を現そうとしたのだけど……。
少し緊張したせいか、指がすべって、コートニーの鎖骨に触れてしまった。
「……あ」
「え……?オーランド……?」
突然、コートニーの目が開く。
気づけば、鼻どうしがふれあうような至近距離で、オーランドは彼女と目があってしまった。
まずいと思ったのは、一瞬。
──パッチーン!!
次の瞬間には、オーランドの目の前に星が飛んだ。
コートニーの平手打ちが、見事に頬に命中したのだ。
「いって……」
「ななななな、なにしてんのよーっ!!」
コートニーの大声で、隣で寝ていたシドまで起き上がる。
「お前っ、コートニーに何をしたんだっ!?」
キイキイ言うテディベアに驚く間もなく……。
「どうしたんだ!?」
クライドにフェイ、アリスが様子を見にやってきた。
「痴漢だわっ!いいえ、変態よ!
このひと、私が寝ている間に、勝手にあちこち触ろうとしたのよっ!
ええ、服も脱がそうとしてたわっ!」