紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
自分のアパートに帰ってくると、コートニーはさっそく部屋着に着替えた。
もちろん、バスルームで。
そして、いつものようにオーランドのベッドを占領して、寝始める。
「待たんかい!今日こそは色々説明してもらうで!」
「いや。変態と話すことなんて、ない」
「変態って……」
ベッドにもぐったままそんなことを言うコートニーに、オーランドの胃がムカムカとする。
なんて可愛くないんだろう。
無邪気な寝顔に騙されるところだった。
「そんなに僕がイヤなら、騎士団のところに行くか?
それとも、ナンシーのところに帰るか?」
もちろん本気じゃなくて少しの意地悪のつもり。
だけどコートニーはそれを聞いて、飛び起きた。
「イヤっ!ごめんなさい!」
涙目で言った彼女は、オーランドの首に巻きつく。
ふわりと甘い花の香りがした。
「なんやねん、意味わからん。嫌いなら抱きつくなや」
自分でもなんでこんな意地悪を言ってしまうのか、わからない。
ただ、少し照れていることは自覚していた。
他の女の子なら、同じような状態になっても、軽くかわせるのに。
「嫌いだなんて、言ってない」
「キミのせいで、僕は人格疑われてるんやで?」
「ごめんなさい。ビックリしたの。
男の子に触られたことなかったから、怖かったの」
……そう言われたら、もう責められないじゃないか。
それに、今抱きついてるのは誰?何が「怖かった」だ。
まったく女性はズルいよな、とオーランドはあきらめた。
「……じゃ、お互い様ってことで」
「うん……」
「…………」
……なんだこの雰囲気。
オーランドはむずがゆいような居心地の悪さを感じ、コートニーを離れさせる。