オムレツの誘惑
さらに癖になったといえば、オムレツづくりだ。基本的に卵料理が好きな僕は、甘ったるいオムレツを好む。なので、自分で試行錯誤を施し、砂糖にこだわり、フライパン技術を総動員し、ふわりとオムレツを作るために、なんども、なんども、試行錯誤した。合計三十六回失敗し、三十七回目に、僕が望んでいたオムレツが出来上がった。白い艶やかなお皿に盛り、オムレツから湯気が立ち昇り、その上に赤いケチャップをジグザグにかける。お腹が鳴り、姿勢も幾分か正したくなる雰囲気が僕のオムレツにはある。だって、僕が作ったんだから。それぐらいの儀式めいたものが必要だ。僕はスプーンを使い、一口食べる。
美味しかった。
オムレツを食べ、あることを思った。オムレツが似合う情景がある。朝方、女の子との情事の後に、「お腹が空いた」と彼女が言い、窓から射し込む朝日がキッチンを照らし、彼女を照らし、オムレツを二人で食べる。ああ、二〇一三年の夢がもう一つ出来た。
美味しかった。
オムレツを食べ、あることを思った。オムレツが似合う情景がある。朝方、女の子との情事の後に、「お腹が空いた」と彼女が言い、窓から射し込む朝日がキッチンを照らし、彼女を照らし、オムレツを二人で食べる。ああ、二〇一三年の夢がもう一つ出来た。