吸血鬼と歌姫と
「アンコールありがとうございます。
これが本当に最後の曲になります。
私にとって大切な曲です、聞いて下さい。
『In A Sentimental Mood』...」
目を閉じて、スタンドマイクに手を添える。
何度も奏でた英語の歌詞と
何度も読んだ日本語の歌詞。
綺麗なドレスを着た私は、あの日の歌姫のようになれるのかしら?
歌い終えると最前列のお客さんが泣いていることに気づいた。
嬉しいな...
一呼吸置いて、感謝を伝えようとすると視界に誰かが入った。