吸血鬼と歌姫と


「ん。甘いな。」


顔を顰める彼。



「甘いの苦手だった?」



「いや、好きだ。」



とくん。

心が跳ねた。




「あ...あのっ!それ...使って食べたら?」


彼にフォークを勧めた。



「あぁ、成る程。これを使うのか...」



フォークを使って黙々と
ケーキを食べる彼を見つめた。



不思議な人だなぁ。

ケーキとフォークも知らないなんて。


人間離れしている彼をもっと知りたい自分がいた。
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