吸血鬼と歌姫と
「んじゃあ、その女の人はどんな人なの?」
「綺麗な声を持っていた。
甘く切なく歌う女だった。
ミレイとはまた違った感じの曲調だ。」
「ふーん。」
何か面白くない。
「そう拗ねるな、ミレイ。
お前の声も好きだ。」
それだけで許せちゃう私は馬鹿だ。
「最高にいい女だ。
あんな酒場なんかには
似合わない女だったのに...」
ルキの声が低くなる。
ルキの視線先が分からない。
何処か遠くを見ていた。