ワンだふる ワールド 7 ~ワンコの継承~ 《TABOO》
すると、ハチがフロアの奥から感嘆の声を上げる。
近寄ると、そこには『私』が描かれていた。
まるで生きているかの様な見事な画風に誰もが魅せられている。
「ヌードじゃないのかぁ。」
と鈍感なハチの横で、タイトルに言葉を失う私。
『待ち焦がれる女』
――はぁ?私が待ってるとでも?
と憤った瞬間、背後から声が掛かった。
「やっぱ、実物の方が綺麗だな。」
振り返ると、憎らしいくらい爽やかな笑顔の二代目。
「どうせなら、正確に描いてよね。」
「俺の最高傑作なんだけど…」
と皮肉を物ともせず二代目が私の肩にそっと触れる。
彼の繊細なタッチは、一瞬で私の頬を薄紅色に塗り替えた。
――ごめん、ハチ
――彼、やっぱりヌードで描きたいらしいわ
END