ワンだふる·ワールド 8 ~ワンコの激走~ 《TABOO》

何万人ものランナーが参加する国際的な大会。

世界各国から屈強なランナーが顔を揃えている。


ソリを引き続けても平気なアラスカン マラミュート

シベリアの雪平原を走り回るハスキー

アルプスで羊を追い続けるシープドッグ

美しい走りの狩猟犬、ダルメシアン


彼らに交ざって、最前列で構えるハチ。

――優勝なんて、できっこないのに…

と思いつつも、ハチの並々ならぬ意欲の理由を私は知っていた。


大会直前に、机の上で開いたままの日記を見つけて目を通すと、

《10位以内に入ったら、プロポーズする》

と書いてあったからだ。


――この日記、私に見られてどうするの?


――しかも、10位以内って…


と何とも微妙な決め事だが、まぁ、そこはご愛嬌。

一般参加のランナーなら仕方がないかと大目に見ることにした。

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