ETERNAL LOVE
「おい…、女」
聞き覚えのある声――
この低く透き通る声は まさしく先日 綾の思いを踏みにじった“あの人物”だった
『…』
しかし綾は 拓斗のことを無視した
嫌だったんだ
顔をあわせることも――
会話をすることも――
すると 拓斗は綾の右肩を力強く掴んだ
「おい!聞こえてんだろ!?」
彼の視線が 綾のことを刺す…
『…』
右肩から 彼の体温が流れ出す
「――…こないだは、ごめんな…」
いつもの拓斗ではなかった
冷たい言葉――
冷たい瞳――
しかし今のは違った…
「本当に、悪気はなかったんだ…」
『…』
「話は、それだけ…」
スルリと 綾の肩から外れる拓斗の手――
少しずつ遠ざかる彼の足音
それが妙に 綾の胸に響くんだ…――
『――…せめて…』
拓斗の足音が止まる――
廊下に流れ出す風が 2人を包んだ――
そして…――