桜廻る
「いただきます」
いつもように、二人は食卓についた。
しかし、さっきの猫が気がかりで……今も、雅は何かの視線を感じている。
(あの猫と誰かの声は、もしかしたら関係している?)
……そこまで考え、雅はハッとした。
この間見た夢で、その声は『貴女は幸せに』と言っていた。
さっきのは……『みやび』。
「土方さん」
「何だ?」
「私……分かったかもしれません」
何がだ、という様子で、土方は雅を見つめる。
ゆっくり息を吸って、雅は話し出した。
「──時空移動の方法です」
そう言った途端、土方は箸を動かす手を止め、目を見開いた。
「本当か、それ……」
「はい。でも、多分……ですけど」