桜廻る




雅は、今までにあった事を話し出す。


土方が来た当日に見た夢。


それに出てきた、誰かの声と鈴の音。


そして……さっき、ベランダで見た猫。





「あの猫をちゃんと見れば、首に鈴がついているかもしれませんし、だから……。猫が、土方さんを時空移動させたんじゃないかって思うんですけど……」





そこまで言うと、土方は少し考えるような顔をした。





「猫が時空移動させるのは信じ難いが……。この時代に来た事自体が有り得ないから、考えられないって事はないな」


「そうですよね……」


「その猫、どんな感じだったか覚えてるか?」





雅は、ベランダで見た事を思い出そうと、頭を巡らせる。





「外がもう暗くて、ちゃんと見れなかったんですけど……。でも、白い猫っていうのは、確かだと思います」





そう言うと、そうか、と土方は納得した。




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