桜廻る
──パァンッ!
体育祭、当日。
青いハチマキを頭に巻き、雅の心臓はドキドキと高まる。
今はまだ、障害物競争の順番待ちだ。
それでさえ、雅は緊張するのだ。
いつもはおろしている雅の黒くて長い髪は、今日は一つに結んでいる。
太陽が暑い。
出てきた汗を腕で拭う。
(……次だ)
大丈夫。
そう自分に言い聞かせ、雅はスタートラインに立った。
「よーい!」
真っ黒に日焼けした先生が、声を張り上げる。
──パァンッ!
その音と同時に、雅は走り出した。
さっきまでの暑さが嘘のように、駆け抜ける風で体が涼んでいく。
少し走った先には、六段もある跳び箱。