桜廻る




──パァンッ!



体育祭、当日。


青いハチマキを頭に巻き、雅の心臓はドキドキと高まる。


今はまだ、障害物競争の順番待ちだ。


それでさえ、雅は緊張するのだ。


いつもはおろしている雅の黒くて長い髪は、今日は一つに結んでいる。


太陽が暑い。


出てきた汗を腕で拭う。





(……次だ)





大丈夫。

そう自分に言い聞かせ、雅はスタートラインに立った。





「よーい!」






真っ黒に日焼けした先生が、声を張り上げる。







──パァンッ!







その音と同時に、雅は走り出した。


さっきまでの暑さが嘘のように、駆け抜ける風で体が涼んでいく。


少し走った先には、六段もある跳び箱。




< 104 / 419 >

この作品をシェア

pagetop