桜廻る
「きゃー!永瀬くーん!」
「頑張ってー!」
女子達の黄色い声が響きわたる。
雅も、祈るように手をきつく握る。
そして……。
パンパン!と、銃声が響いた。
《軍対抗リレー、第一位は青軍!続いて第二位は赤軍!第三位は……》
「きゃー!やったーっ!」
雅は、ほっと胸をなでおろした。
後ろの方では、皆ハイタッチをしている。
(良かった……。でも、凄いよ、永瀬君)
雅は、永瀬がいる所へ向かう。
永瀬は、ぐっしょりかいた汗を、首に巻いたタオルで拭っていた。
「ごめんなさい、永瀬君。あんなに教えてもらったのに、バトン落としたりして……」