桜廻る
「あいつは誰だ?」
「ちょっと行ってくる!永瀬君、ほんとにありがとね! 」
永瀬の問いには答えず、雅はまっすぐ土方の所へ向かった。
土方の手には手拭いがある。
雅が近くに来ると、そのまま影の方へ移動した。
「お前、その膝でそのまま走っただろ……」
「はい……。あ、あの時はありがとうございました、土方さん」
土方は、あぁ、と短く返事をすると、手際よく手拭いを膝に巻いていく。
「ありがとうございます」
「いや……。それより、もう時間じゃねぇか?」
雅はハッとして、時計を見る。
もう少しで時間だ。
「それじゃあ、行ってきます!」
雅はそう言うと、青軍が集まっている所に駆けて行った。
《これから、閉会式を行います》