桜廻る
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コツコツと、アパートの階段を上がっていく。
カギを鞄から取り出し、中に入ろうとした。
…が。
「……あ、あの」
ドアの前に、座っているその人。
「…あの……」
寝ているのだろうか。
何度声をかけても、下を向いたままで顔を上げない。
「土方さん…ですよね…?」
そう言うと、土方は顔を上げた。
「……あぁ。お前か」
まだ寝ぼけ眼で、土方は腰を上げる。
「……何で、ここに?」
「分かんねぇ……」
ぽかんと、雅は固まる。