桜廻る
「う、うん……。でも、明日とかに来るんじゃなかったの?」
「いやー、それがな、仕事の予定が早まってしまったんだ。体育祭行こうと思ったんだがな、もう終わってて……」
「そうなの?」
そんな事を話していると、父はやっと、土方がいたことに気付いたらしい。
明るい笑顔から、急に真面目な表情になる。
「雅、この男は?」
「あ、えっと……」
「土方歳三と言います」
土方は、ペコリと頭を下げる。
父は少し考えると……。
納得したように、頷いた。
「そうかそうか!雅の彼氏か!いやぁ、まるで武士のようだ!刀を腰に付ければ、こりゃ正真正銘の武士だな!」
「お、お父さん!」
上から下まで、この不思議な土方の格好をまじまじと見る父。