桜廻る
外は、がやがやと賑わっていた。
たくさんの屋台が立ち並び、明かりも灯っている。
「何食べようかなー」
なんて、雅はそう独り言を言いながら、屋台を見回していた。
「土方さんは、何食べますか?」
「あぁー。イカとか……」
じゃあ、自分もイカを食べようと。
雅はそう決め、イカが売られている屋台を探し始める。
……しかし。
「あれ?……ない…」
なかなか見つけられなかった。
少しがっかりした、その時。
「あ、俺、あれが得意なんだ」
「え?」
土方は突然、顔を明るく輝かせると、遠くを指さした。