桜廻る
「ははは、良かったなぁ、彼女さん」
「ち、違いま……っ」
「あぁ。こいつは俺の彼女だ」
その一言を言った本人を見ると。
口角をあげ、ぽんっと頭に手を乗せられた。
「最近考えたけどな、もしかして、彼女と彼氏とは……恋仲って事じゃねぇのか?」
「ひ、土方さん!」
(見られてるってば……っ)
一気に顔を赤く染める。
「俺は嬉しいんだが?」
「……っ!」
雅は羞恥のあまり、軽く土方を睨むと、背を向けて歩き出した。
スタスタと隅の方まで行き、誰もいない物陰に入っていく。
「おい雅!」
「……」
「悪かった悪かった」
土方は慌てて追いかけ、雅の腕を掴む。