桜廻る




ぐっと引っ張られて、立ち止まる雅。


そして、ずっと閉じていた口を、やっと開いた。





「……本当に、思ってます?」


「……?何がだ?あぁ、そうだな。本当に反省してる。すまなかった」





(ち、違う……。ていうか、こういうのは分からないなんてっ)





すー、と息を吸って。


はー、とはいて。


何度か深呼吸を繰り返し、再度口を開く。





「だから、本当に私と恋仲……とか思われて、嬉しいんですか?」





土方は、一瞬ぽかんとした。


まさか雅から、こんな言葉が出てくるとは思わなかったのだろう。


しかし、その瞬間──。





「……!」





雅の目の前が、いきなり真っ暗になる。




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